こんにちは、JIITAK代表の小林です。
この度、弊社の「ワークフロー管理」に関する発明で特許を取得しましたのでご報告と、特許出願に至った経緯などについてお話ししたいと思います。
よろしければ、ぜひご覧ください。
【特許番号】特許第7292761号(P7292761)
【発明の名称】ワークフロー管理プログラム、ワークフロー管理システム、およびワークフロー管理方法
【出願日】令和4年3月1日
【取得日】令和5年6月9日
申請から約1年と3ヶ月、、、ついに特許証が届きました!
手元に届く少し前に登録されたことを知りましたが、これを実際に見てからやっと実感が湧きます。
特許申請にあたって口頭での説明は難なくできても、文書や図式に適切に反映させることができるのか不安に思っていましたが、ご尽力いただいた弁理士さんが元SEさんであったこともあり、プログラム部分も難なく説明に落とし込むことができました。
特許出願後、拒絶理由通知に対して必要になった再説明(反論)は1度と、思っていたよりも順調に進めることができました。
今回の特許取得内容の着想を得たきっかけは、私の3つ上の兄が抱える悩みでした。
数年前、世間で「若者がすぐ会社を辞める」という記事が多く取り上げられている中、当時留学をしていて少しイレギュラーな就活をした私の兄も入社して2年程で「仕事を辞めたい」とぼやきながら仕事を続けているのを知りました。
そんな兄の家を訪ねた時に机の上になんとなく置かれた「FIRE - 早期リタイア術」の本を見かけました。大学時代に海外ボランティアやワーキングホリデーなど多彩な経験をしていて、それが眩しく見えて同じ大学に進学した私としては、やりがいを見出せず行き詰まっている兄がとても心配になりました。
周りを見てみると、兄だけではなく実は多くの同級生や先輩が同じような状態にあることを知りました。世界中の国から留学生が集まる大学で、あんなにカラフルな大学生活を送っていた人たちが就活後になぜそうなったのか。私自身は学生起業だったので、同じ状況で気持ちを理解することが難しかったことから、モヤモヤした気持ちになり、余計に強い興味が湧いてきました。
転職を考えている人、転職をした人を中心にZoomでインタビューをお願いして話を聞いてみると、個々の原因だと思う事柄や伝え方の違いはあれど、大きく以下にまとまりました。
・毎日の業務を繰り返しのルーティンワークに感じ、自身の成長実感や組織での貢献可能性が感じられない。
・自分の会社での立ち位置がわからなくなり、自分はこのままで大丈夫なのかと生存バイアスがかかり将来設計に不安を感じている。
・どんなに頑張っても評価してもらえない/公平でない。
これをもとに私は、この組織で自分がどれくらい貢献できる可能性を秘めているのかを理解し、日々の成長にワクワクできるようにすることが重要で、またそれを正しく導いてく存在がいることが解決につながるのではないかと仮説を立てました。
そこでよぎったのが「個々の成長実感を高め、管理者はパフォーマンスを正しく管理し、組織全体が強くなっていく」そんなプロダクトがあれば、この状況を解決できるのではないかということ。
個人の成功体験を演出し、成長を実感させるには、過去の実績と比較させる必要がありますし、それが組織に貢献できている・今後の貢献可能性があると感じさせる必要があります。
プロジェクトごとや、個々の業務をタスク単位で管理するために、多くの企業がタスク・プロジェクト管理ツールを導入していると思います。しかし、従来のそれらのツールでは「タスクを作成し、移動、完了させる。」という、いやゆるTO DOを作り、それを完了させる。プロセスの部分でメンバーと進捗状況のやり取りを行えるので、組織全体の業務効率を向上させることが主要な目的です。
作成 → 割り当て → 完了
ただ、これでは今どんなタスクがあっていつまでに終わらせるかにばかり注目が行き、一度完了したタスクが振り返ってみられることはそうありません。
毎日一つ一つ取り組んだタスクは、プロセスを含めて成長を計測するための大切なデータですし、成功や失敗の理由を定量的に探り、自分自身をどのように伸ばしていくかを考えるのに非常に役立ちます。
難しく組織全体や他と比べて考え、結局わからなくなるのではなく、もっと目の前の業務にフォーカスを当てて、自分のパフォーマンスを深く自覚することで不安感を払拭し、自信につなげることができると考えました。
そこで私はまず、「日々の業務データを拾い、分析して、過去の業務と比較して成長を実感できるようにする方法」を解決策検証の対象とし、仮説をプレゼン資料・モックアップにしました。その勢いでベンチャー支援プログラムにも参加し、中小企業・大企業の経営層、管理職の方々にピッチしました。
そして反応は、、、
コロナ禍であったこともあり、若手従業員のモチベーションの低下・離職率の問題、管理者が上手くフォローアップできていないという課題感は合致していました。そして、具体的で定量的なデータから評価や業務分析に役立てられる点については嬉しい反応をいただきました。
しかし!!
『その人の目指すキャリア、組織の職務によって成長の具合や方向性は様々。何より多種多様で膨大な業務データを用いて納得のいく成長の量や質を判断できるデータを提示できるようにするために、日々忙しい業務の傍で人力では到底できないし、自動にするにしてもどう定義付ければ良いかわからない。過去の業務と比較する際に比較対象が曖昧だと、せっかくの定量的なデータも信憑性がないのではないか。』
という率直なご意見をいただきました。
勢いよく飛び出したものの、肝心な実現方法に多くの穴があり、簡単に撃ち落とされてしまいました。
ターゲット顧客と実際に話して、率直なフィードバックを受けることの重要性を痛感させられました。
貴重なご意見を踏まえ解決方法を模索する中で、各組織の独自のワークフローを基準にした業務管理・自動分析で業務データの解像度を上げて成長を具体化し、管理者の正確なフィードバックを可能にするアイデアを思い付きました。
組織独自のワークフローがその定義づけの基準となるため、多種多様で膨大な業務データでも比較して分析しやすく、強みや弱み、改善点を把握するためのデータの提示ができるようになります。
また、ワークフローツリーにより設定した細分化された業務分析が可能となるので、ただ単に業務実績を追って個人の成長を促進するのではなく、企業の目指す目標や、職務別のステップに応じて、自分がどのくらい目標に近づいてきているのか明確に理解ができます。
そのため、自分の会社での立ち位置がわからなくなり、自分はこのままで大丈夫なのかといった不安心理にも、安心感を与えることができます。
管理者にとってもメンバーの定量的なデータを把握でき、個人の成長の伸びを考慮した、評価基準に沿った忖度のない評価が行えますし、各個人の業務の具体的なフィードバックの軸にもなります。評価してもらえない、公平でないというモヤモヤした気持ちの解消にも貢献します。
また、組織のチーム別のワークフローに応じて定義づける、組織内チームやプロジェクトに分けて分析レポートを作成できることも特徴といえます。
最終的には、AIを活用して経営判断の素材となる、組織独自の業務に正確に基づいた業務データを様々な裏付けから分析することができるようになり、組織全体の改善や効率化を提案できると考えています。
使えば使うほどデータが蓄積され、ツールが成長していくのです。
そんな構想とともに、これを弊社JIITAKで実現させていこうという思いで、特許出願に至りました。まだ解決策検証の段階ですが、しっかりと想いをカタチにしていきます。
今回の特許は、プロダクト開発を通して私の兄や、周りの友人のような悩みを持つ人々の希望を作りたいということから着想しましたが、弊社が担当させていただくDX伴走支援でもワークフロープログラムに関する知識や経験を活かした価値提供をしていきたいです。
これからもJIITAKは、「テクノロジーの力で、今日の挑戦を価値ある明日につなぐ」という思いのもと、プロダクト開発・DXを皆さまとワンハートで取り組んでまいります。
皆さまのご支援に感謝し、今後も一層の成長と発展を目指して参ります。
今後とも、変わらぬご愛顧の程よろしくお願い申し上げます。