DXの推進が加速する中、ビジネスの様々な意思決定の局面において、データ活用の比重が非常に重くなっています。
そして、データを活用する上で、データ分析にどんなメリットがあるのか?より効率的なデータ分析にするために押さえるべきポイントはどんなものがあるのか?を知ることで、データの質は大きく変わってきます。
そこで今回はデータ分析について、概要やメリット、分析の際のポイントなどを解説していきます。また、成功事例もあわせて紹介するので、実際の活用も想像しやすいかと思います。ぜひ最後までご覧ください!
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データ分析(Data Analysis)とは、データ解析とも呼ばれ、様々な方法で大量のデータを収集し、整理、加工、抽出といったデータ処理を行い、分析を行うことです。
ビジネス、科学、政府、医療、エンジニアリングなど、幅広く応用され、特にビジネスでは、経営・売上分析、在庫管理、営業、財務、人事、競合分析など幅広く活用されています。
データ分析の目的は、収集したデータから有用な情報を取得し、保存している過去のデータと照らし合わせることで、現状把握と今後の計画・予測を円滑にし、ビジネスにおける意思決定をサポートすることです。
適切なデータ分析を行うことにより、信頼度の高い予測が立てられ、市場や競合の把握、顧客ニーズの理解、課題の発見、正確な意思決定などが可能となります。
近年のインターネットの普及により、多くの製品・サービスが誕生しました。人々のニーズが満たされやすくなった一方、ニーズの潜在化が課題となっています。
この潜在化したニーズの掘り出しに、データ分析が役立ちます。データ分析を行うことで、データの可視化ができるため、今後のビジネスプランにも役立てやすく、今や、実現性の高いビジネスを行うには、データ分析が欠かせないのです。
データ分析とよく混同されて使われる言葉に「データ活用」があります。データ分析とデータ活用の違いは以下の通りです。
・データ分析
データ収集によって得られた結果をもとに考察をするプロセス
・データ活用
継続的にデータを活用することで業務効率や生産性を向上し、マーケティング戦略や利益の向上を目指すプロセス
ここで、データ分析を行うことによるメリットをまとめていきます。
・意思決定のサポート
データ分析の大きな役割の1つとして、「ビジネスにおける意思決定のサポート」があります。データ分析を行わない場合、低い確実性、不透明な再現性のまま意思決定が行われてしまうことになります。
データ分析を行うことにより、データを可視化し、より客観的な分析結果を得た上で、製品・サービス開発、ビジネス戦略の策定、マーケティング戦略、資金について、合理的な意思決定を行うことができます。
・課題やニーズの新たな発見
顧客の行動や趣向パターンなどを分析することで、今まで見えてこなかった新たなニーズやビジネスチャンスを発見できる可能性があります。
データにより売上の予測や傾向の把握、在庫管理を行い、製品・サービスの改善を積み重ねて行くことで、売上や顧客体験の向上に役立てることができます。
・現状把握が可能
市場における自社の立ち位置や、強みや弱み、これまでの売上傾向や将来の予測など、データ分析を行うことにより客観的かつ正確に把握することができます。
また、今後直していくべき箇所や需要がある箇所を把握することも可能です。
・効率性の向上
データ分析により、在庫を調整したりプロセスを最適化することで、無駄の発生や浪費を最低限に抑えることができます。
ここでは、データ分析に取り組むにあたって、多くの企業で壁となってしまう部分を取り上げていきます。
・時間/コストの発生
適切なデータ分析を行うためには、適切なツール、技術、スキルなどが必要ですが、ツール導入や人材採用/育成には、どうしても時間やコストがかかってしまいます。特に人材育成に関しては、長期的な計画で育成する必要があります。
・労力の発生
データ分析は大規模なデータセットを処理し、分析するために時間と労力を必要とします。また、複雑な分析を行っても、結果が必ずしも良い結果に繋がるとは限らず、期待していた結果が得られない可能性もあります。そのことを念頭に置いておく必要があります。
・数値だけでは分からない実態
データ分析で得た結果からは、人々の感情が読み取りにくいことがあります。例えばテーマパークの混雑度が150%というデータがある場合、150%で人々は不快と感じるのか否か、データを見るだけでは分かりません。数字で見た結果と体感にギャップが生まれないよう、直接体験することも大切です。
これまで解説してきたデータ分析のメリットや、取り組みの壁を理解した上で、ここからはデータ分析に取り組む際のポイントを押さえていきます。
・明確な目標設定
まずはじめに、どのようなデータが欲しいのか、なぜ必要なのか、どのように取得できるのかなどを確認します。その上で、明確な目標を設定することにより、その後のプロセスを効率的に行うことができ、無駄な工程やコストの発生を防ぐことができます。
・適切で正しいデータを使用
データ処理は時間がかかり大変なステップですが、ノイズ入りのデータや数値の異なるデータが混ざると、正確な結果の取得が難しくなります。そのため、データ処理の工程は時間を惜しまず、質の良いデータを取得することこそ、ゴールへの近道です。
・収集データの可視化
収集したデータを分かりやすく、グラフ等にまとめ可視化することで、データの分析が行いやすくなります。パターンや傾向を理解することで、意思決定や情報共有がスムーズに行えたり、トラブルの回避にも役立ちます。
・BIツールの活用
BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとは、組織や企業がデータを分析、可視化することにより、経営・戦略や業務に役立てるためのソフトウェアのことです。データ分析を1から全て手作業で行うには膨大な時間がかかってしまいます。BIツールを活用することで、データを1箇所にまとめ、データ集計・分析にかかる負担を大幅に削減できます。
ポイントも押さえたので、ここからはデータ分析の実際の流れを見ていきます。データ分析の流れを理解することで、先ほど出てきたメリットや押さえるべきポイントへの理解が、より深まるでしょう。
〈目標設定(問題定義)〉
解決すべき問題の洗い出しや目標を明確に定義し、分析の目的を明確にします。データ分析で有力なデータを効率的に収集するためにも、目的を明確にしておきます。
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〈 仮説検証 〉
急速に変動する市場とニーズにおいて、仮説検証を行いニーズの高さを探ることはとても重要です。仮説がいくつかある場合は、優先順位を決めて検証を行います。
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〈 データ分析方法の決定 〉
仮説検証で得た結果を踏まえて、集めるべきデータ、最適な手段、期間、量などを決定します。
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〈 データ収集 〉
分析方法が決まったら収集を始めます。期間や手法など、計画に課題が見つかったらこの時点で修正します。データ収集はツールを使用し、自動化することで効率良く行うことができます。
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〈 データ加工 〉
データを使いやすくするため、欠損したデータの除去や、データセット内の値を変換・分割したりします。データ加工を行うことにより、適切に整理され正確な分析結果を得ることが出来ます。
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〈 データ分析 〉
収集・加工したデータを、目的に応じた適切な手法で実際に分析していきます。その結果から、次の目標や課題の発見、改善など計画を行っていきます。
データ分析を実践していくにあたって、様々な手法がありますが、ここでは代表的な5つの手法を紹介していきます。
・クロス集計
クロス集計とは、2〜3つのカテゴリに基づいたデータを収集し、表の行と列に振り当てて、データ同士の関係性を見ていく手法です。
例えばある商品に対してのアンケートを取り、興味の有無・年齢・性別で回答をもらいます。そこで収集したデータを表に振り当てていくことで、男女どちらが興味を持っているかや、関心を示している年齢層を把握することが出来ます。
・アソシエーション分析
アソシエーション分析は、一見関連のなさそうな複数のデータから関連性や規則性を抽出する手法です。
例えば購買履歴から購買行動のパターンや傾向を特定します。ここで得た結果を、特定の商品を購入した顧客に別の商品を提案するときに使用することができます。
・クラスター分析
クラスター分析は似ているデータをグループ化し、データ内の構造を理解するための手法です。データを類似性に基づいたクラスター(集団)に分けていくことで、データの理解を簡単にすることができます。
・ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析は、特定の事象が起こるか否か(0か1か)を予測する「2値分類」と呼ばれる手法です。例えば、商品を購買するか否か、試験に合格か不合格かなどが当てはまります。
・決定木分析
決定木分析(デシジョンツリー分析)は、意思決定プロセスをツリー構造で表現する手法です。特定の問題に対する意思決定規則を可視化し、理解しやすくするために使用され、マーケティング戦略や消費者行動の分析に活用されます。
データ分析を行うことにより、既存サービスの改善や新しいサービスを始め、業績を伸ばし成功した企業はたくさんあります。データ分析を導入して成功した企業の代表例を挙げます。
・スシロー
回転寿司のスシローは、ネタの情報とひも付いたICチップを、レーンに取り付けたICリーダーで読み取り、種類・数などを認識し、これらの情報をAWSのデータ分析サービスに送信する方法で、年間約10億件ものデータ収集を行っています。
また注文用端末の履歴、レジの情報も集め、全てBIツールで確認できるようになっており、これらはフードロス対策やネタの鮮度分析などに役立ち、効率良い経営を実現しています。
・ダイドードリンコ
飲料メーカーのダイドードリンコは、アイトラッキングという顧客の目線をデータとして分析し、商品の陳列やパッケージ画像などを工夫したことで、売上を20%〜30%伸ばしました。
また、データ分析の人材確保にも積極的に動き、即戦力の採用だけではなく、社員のデータ分析スキル教育も行っています。
・ベネッセコーポレーション
ベネッセコーポレーションは事業化が難しいと言われている教育分野において、DXに力を入れて成功を収めています。
例えば代表サービスの「進研ゼミ」は、従来の紙教材の頃からデータ収集に取り組んでいました。そこからデジタル教材を導入し、デジタル学習によって蓄積された膨大な学習データの分析により、より効果的な学習を追求し、質の高いサービス提供を実現しています。
ここまでデータ分析の概要やメリット、取り組む際のポイント、実際の活用事例について解説してきました。
DXの推進が加速する中、ビジネスの様々な意思決定の局面において、データ活用が重要視され、年々比重は重くなっています。
正しいデータ分析は、意思決定をスピーディーにするだけではなく、通常の経営では見えなかった部分まで可視化できることで、新しい可能性を広げてくれます。今後はAIとの連携も予想され、ますます便利に効率的かつ的確なデータ分析ができるようになるでしょう。
また、素早いデータ分析を行うために分析のDXも進んでおり、様々な便利なデータ分析ツールが誕生し、DXは待ったなしの状態です。
JIITAKでは、デジタルテクノロジーを駆使して、価値創造に挑戦する会社のDXを支援しています。DXにどのように取り組めばいいかわからない方や、お困りごとのある方は、ぜひ一度JIITAKまでご相談ください。