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脱“SNS映え” SNSに疲れた若者たちがそれでも使い続ける心理とは?

物心ついた時からSNSが当たり前にある世代にとって、写真を撮ったら画像の加工が当たり前であり、それに見慣れてしまい、加工後の画像を美の基準としてしまう問題が話題になっているのを知っていますか?関連して、10代の美容整形希望者が急増しており、SNSによって精神衛生が損なわれてしまう可能性が示唆されています。また、当事者たちもそのような状況に疲弊し、「リアルを映し出すこと」に需要が出てきています。

そこで今回は、美の基準の変化に影響を与えた、SNSの進化とカメラ技術発展の歴史、そしてSNS社会に疲れたと言われる若者がどうしてSNSの利用を辞めないのか?について書いていきます。ぜひ最後までご覧ください。

 

目次

1.SNSの歴史
2.カメラの進化と共有したい人間の心理
3.若い世代への影響
4.キラキラしたSNSはもう疲れた、けど誰かと繋がる安心感が欲しい
5.「Be Real」をはじめとするリアル共有アプリの誕生
まとめ

 

SNSの歴史

上の画像は日本も含めた全世界で利用されている有名なSNSをまとめたものです。

SNSの起源は1997年にアメリカで誕生した「Six Degrees.com」と言われています。そこから世界各国で通信インフラが発展することで、情報が文字のみから画像や動画の発信ができるようになりました。また、スマートフォンが普及し、情報発信がよりスピーディーにできるようにり、SNSの利用は一気に普及していきます。

2004年に「Facebook」、2006年(日本でローカライズされたのは2008年)にスマホの普及とともに手軽で速攻性のある情報発信ができる「Twitter」が誕生しました。そして2012年に画像や動画の投稿がメインのInstagramが、2016年に短尺の動画を投稿できる「TikTok」が誕生し、芸能人のみならず、一般人も手軽にプライベートで撮った写真や動画を世界中へ発信できるようになりました。

 

カメラの進化と共有したい人間心理

SNSで共有する情報の多様化は、SNS自体の発展はもちろんですが、カメラ技術の発展による「写真を撮る」という行為の大衆化とも言えるでしょう。スマホで写真を撮るのが当たり前の世の中になっていますが、元々写真を撮るというのは専門的な技術が必要で、手軽に日常を切り取れる現代のカメラとは程遠いものでした。

日本で「日常を切り取る」一つの転機となったのは、1941年に発売開始したフィルムカメラの普及と言われています。それまでの専門的な知識や技術というものがなくても、誰でも気軽に写真を撮ることができるようになり一般化していきました。また、1995年にプリント倶楽部(通称:プリクラ)がゲームセンターに登場。プリクラでは背景色を選んだり、写真にデコレーションができるようになったことで、写真を撮った後に「誰かに見せたい」という願望が加わった時期と推測できます。また仲間内ではありますが、他人に写真を見せることに抵抗が無くった時期とも言えるでしょう。そこからケータイ・スマートフォンの普及により、今までにないくらい気軽に写真や動画を撮影できるようになり、それに合わせたSNSの登場で他人への共有のハードルもぐんと下がりました。

 

そもそも「人々はなぜ共有するのか?」という疑問に対して、The New York Times Customer Insight Groupが「人々がなぜSNSで共有するのか、そしてそれはどういったことを意味するのか」というテーマで調査を行い、その結果、SNSで何かを共有する行為には5つの動機があるという事が分かりました。(引用:INFO CUBIC)

これから分かることは、SNSで共有する事を通して、良いものを共有したい、応援したいという動機の他に、自分の存在価値を確かめたい、立ち位置を明確にしたいという承認欲求的な要素も含まれているということです。

SNSが当たり前になってくるにつれて、不特定多数に向けた情報発信、それに対するリアクションが多様化し、さらに承認欲求の要素が強まっていったと考えられます。

 

若い世代への影響

いいものを共有したい、という気持ちは多くの人が共感できると思います。ただそこに承認欲求が含めれているとすると、他人に共有する際、多少なりともよく見せたいというのは人間の性ではないでしょうか。

ただ、それがあまりにも過剰になっているのが現代です。SNSへ投稿することを目的として、友達と写真を撮る、どこかへ出かける、そして加工を施した画像をSNS上に投稿する。また、時間があればつい開いてしまうSNSは、楽しそうな写真や、綺麗な人の写真が無意識のうちにたくさん目に入ってきます。「みんなは楽しそうなのに…」「綺麗な人ばっかだなあ…」という他人を羨んで、自分の生活に当てはめて考えてしまう感覚は、積もり積もってストレスになり、SNSに振り回された異常な加工文化が、ユーザーの楽しめる範囲を超えてしまっているようなのです。

SNSが普及してから、このような心理状態で利用されるSNSは、アイデンティティが確立していない若者、特に10代のユーザーの精神衛生を損なう恐れがあるという懸念点として上がってきました。

また、Facebookの内部調査で「Instagramの利用は10代の若者のメンタルヘルスに悪影響を及ぼす」という調査結果も出ています。他にも10代の若者が、加工アプリのような顔を希望して整形するケースも増えているというので、これは間違いなく社会問題であり、当事者だけでなく大人も含めてSNSとの向き合い方を対策していかなければならないでしょう。

 

キラキラしたSNSは疲れた、けど誰かと繋がる安心感が欲しい

いよいよ若者たちは見栄えを気にしたSNSに疲弊を隠せなくなってきました。

元々SNSがない時代を経験している世代は「疲れたのであれば、そもそもSNSをやらなければいいのではないか?」と思うかもしれません。ただ、SNSが当たり前にある環境で成長してきた若い世代は、友達と取るコミュニケーションもSNSありきのものになっていると言われています。

KDDIの調査によると、18歳〜22歳のうち約22%の1日のスマホ利用時間は5時間以上と言われています。それだけスマホと生活をともにする若者にとって、SNSで誰かと繋がって情報を共有することは、は当たり前なのかもしれません。

また、「繋がる」という点で若者たちに人気な機能でいくと、「位置情報共有」が挙げられます。

2023年2月にサービスを終了した「Zenly」も終了を惜しむ声が多かったのは記憶に新しいのではないでしょうか?ただ位置情報共有と聞くと、少し怖いイメージがある方もいるかもしれません。しかし、SNSとともに成長してきた若者にとって、常に誰かと繋がれる状態にあるというのは当たり前。むしろ位置情報を共有し常に繋がっていることに対して安心感を抱いているのです。また、突然遊びなどに誘う0からのコミュニケーションより、位置情報を知って、何をしているのか想像してからの方がコミュニケーションが取りやすいという意見もあります。

そんな若者たちの、見栄えを気にしたキラキラしたSNSには疲れたけど、常に誰かと繋がっていたいという気持ちが反映されたアプリが現在続々とリリースされ、人気を博しています。

 

「Be Real」をはじめとするリアル共有アプリの誕生