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PoC(概念実証)とは?意味やメリット、成功のポイントを解説

みなさんは何か問題に直面したり新しいことに挑戦するとき、どのように取り組んでいきますか?

細かい工程を考えず直接ゴールに向かうこともあれば、小さな目標を立てたり、改善点を一つ一つ洗い出し、小さい単位で試行を繰り返すことで、取り組むべき課題に向き合うこともあると思います。一見遠回りに感じる後者の方法が、案外早くゴールに辿りつけたりしませんか?

実はこれはプロダクト開発においても同じことが言えます。何かプロダクトを作りたいとなった時に、ゴールを決めないままいきなり開発を行うと、莫大な時間とコストがかかってしまう可能性があります。そこでアイデアの簡易版を作成し、実際の運用と同じ環境で検証することで改善点を洗い出し、試行を繰り返していく、PoC(Proof of Concept)と言われる手法が、非常に役立ちます。この手法を活用することで、いち早く開発においての最適解を導き出せるかもしれません。このようにPoCとはビジネスにおいて必要不可欠な工程になってきています

今回はそんなPoCについて、基礎的な知識からメリット、どのような流れで行うのか、成功のポイントまで解説していこうと思います。プロダクト開発のみならず、この考え方は私生活でも役立つかと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

目次

1.PoC 意味とは?
2.PoCの重要性が広まった要因
3.関連用語との違い
4.PoCで検証する内容
5.PoCの流れ
6.PoCのメリットと注意点
7.成功に近づけるためのポイント
まとめ

 

PoC 意味とは?

PoCとは、Proof of Conceptの略で、日本語訳すると「概念実証」と言います。概念実証とは、新しい概念やアイデア、計画、理論などが実現可能か実証するためのデモンストレーションのことです

PoCではアイデアやプロジェクトの簡易版を作成し、実際の運用環境と同じ環境で検証を行います。「目的としているものが得られるのか」、「ゴールを達成できるのか」、「ビジネスとして成立するか」、「本開発にあたって必要なデータ収集」といった場として役立ちます。同時に課題や改善点の洗い出しを行い、修正を行うことで、実際の運用時とのギャップをできるだけ小さくすることができます。

元々PoCはプロジェクト開発費用の規模が大きい製造業や製薬業などで使用されていましたが、近年はIT業界でも本開発が始まる前の検証としても使用が増加しています。

PoCがIT業界で広まりを見せている背景の1つとして、企業でのIT活用が「コーポレートIT=業務効率化」から「ビジネスIT=ビジネスの売上・成長に直接関与」へと範囲を広げているからと言われています

IT業界は発展が急速で、開発にあたり巨額な投資をされることが多いため、なるべく損失を抑えるためにも、市場ニーズや競合調査を慎重に行い、実現可能性や検証を行うことが重視されます。PoCによって市場の反響を見ながら無駄なコストと工程とリスクを抑えつつ、プロジェクトに取り組むことができ、業務効率化だけではなく、収入面でのメリットも大きいため注目されています

 

PoCの重要性が広まった要因

近年、様々な分野において「DX」が推進されています。DXとは「Digital Transformation」の略称で、デジタル技術を使用し、業務の効率化や技術の発展を行うことによって、ビジネスの変革を試みる取り組みです。このDXを進める際に、PoCによるアイデアの検証が重要になります。以下でその理由を紹介します。

 

多様なニーズと日々変化する市場に対応

DXはアイデアを具体的なプランに落とし込む際にコストや時間がかかることがあります。PoCを行うことでプロジェクトのリスクを軽減し、成功に向けた最善の戦略を立てることができます。また新しいサービスの効果を確かめ、不確実な市場に対応できる戦略をどのように決定するか決めるための、良い手段ともなります。

 

・技術的/開発費用リスクの軽減

PoCを行うことで技術的・経済的なリスクを軽減できます。もし最初の段階でアイデアを具体化しなければ、その後のプロトタイプ開発や設計で要件がまとまらなかったり、ビジュアルにうまく落とし込めなかったり、アイデアへ共通理解がされないまま進んでしまったりと、何度も修正して時間もお金も無駄にしてしまいます。PoCを通じて問題や課題が浮き彫りになり、本格的な実装に入る前に修正や改良が可能になります。

 

・市場への適合性

製品やサービスの競合が多く存在する中、市場で受け入れられるかどうかを早い段階で検証することが出来ます。市場は素早いスピードでニーズが変わり、近年はニーズが見えにくく発見しづらいため、慎重にアイデアの検証を行い、失敗や無駄が発生するリスクを早い段階で排除する必要があります。

 

関連用語との違い

PoCと混同しそうな関連用語、「実証実験」「プロトタイプ」「MVP(Minimum Viable Product)」について、それぞれの概要と違いを解説していきます。

 

・実証実験

新しい製品や技術の開発にあたり、実際の場面で実用化に向けて実験を行い、問題点を洗い出すことです。PoCとは、概念やアイデアなどまだ可視化できないものの実現可能性や具体化するために検証するものですが、実証実験は実際に仕上がっているシステムや製品を検証するためのものなため、概念が異なります。

 

・プロトタイプ

製品やサービスの試作品で、主に実際の機能やデザインを確認するために作られます。PoCで作ったコンセプトや要件を具体化し、ビジュアルに反映したものです。チームで製品に対する共通意識を持ち、最終形態の開発に向けて取り組むことができます。エンジニアチームが開発するための設計として役立ちます。PoCのように可視化できない部分の検証ですが、プロトタイプの主な目的はデザイン検証です。

 

・MVP(Minimum Viable Product)

製品やサービスを最小限の機能を備えた状態でリリースし、市場と顧客の反応を見ながら修正・改善を加える手法です。リスクを最小限に抑えながら、市場の反応やニーズに合わせて追加機能を開発することも可能なため、効率的に開発を進めることができます。市場の受け入れ可能性を検証し、実際の顧客の反応を得ることを目的としているため、まだコンセプトを練る段階のPoCとは異なり、もっと先のステップです。

 

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